21世紀太宰治ニュース



「太宰を読む少女」
う〜ん、ちょっとピンボケ

「太宰とは、うつくしき未熟」
「謎の母」(久世光彦)が文庫化された。
解説で、川上弘美が、そう書いてた。
たしかにそのとおりなのかも・・

「謎の母」
これにでてくる「朽木」は、太宰だと思う
そうだとして
もしここに描かれてる太宰が、実像とかなり近いとしたら
私はひとつの現実とむきあわねばならない
太宰って、汚かった?
太宰の座っていたあとには、必ず床にメタンガスのような液体が
残っていた、という文中の表現があった。
現代の女性が そんな男を好きになる?
これは問題です。
どんなにいとおしくても、これだけはダメ、って
誰でもあると思う
私の場合、
暴力をふるうオトコ、気分屋なオトコ、そして
なによりダメなのが吐くオトコ。
人が吐くのがダメなんです。小さい時から。
太宰のことを心底愛して、全く報われなくて、
もうあきらめようと思ってたときに、
甲府での講演の場面のような言葉をもらえたら
(謎の母で一番好きな場面)
とろとろになってしまうでしょう
太宰は、そういう母性愛のかたまりを隠してる女を
かぎわける才能がすごくあったのではないかと思います。
私もなにをかくそう母性愛が強い人間です。
でも、メタンガスはダメです。
カラダが抵抗すると、心に勝てません
でも私もいつまでも小娘ではありません
夫もいつか病気をするでしょう
愛する人のすべてを包み込む
それができるようにならなくてはいけないと思います。
太宰を好き、
それがポーズだけのものなのか
本当に理解しようとしてるのか
「謎の母」がきっかけで試されようとしている
だから、ちゃんと太宰を知ること
読むこと
「オリジナル」に逃げないで
でないと今のままずっと越えられない



嶽本野ばら
その名前を初めて耳にしたのはいつだったでしょう?
吉本ばななが「野ばらちゃん、最高!」って書いてる帯にさそわれたのと
きれいなブルーの表紙に惹かれ、「ミシン」を手に入れました。
そして「鱗姫」も手に入れました。こちらは赤い表紙です。
そしてなにより私は、「それいぬ」に影響されました。
同時に、しまった・・・って思いました。
女生徒時代にこれが読めていたら、また違った人生になっただろうって。
でも、乙女に後悔は似合いませぬ。
「それいぬ」を、三十路の乙女のバイブル、としてトイレに飾り、
毎朝1ページづつ繰り返し読んでいる、というのもあり、でしょう。
あり、でしょうか? 野ばらさま、
ここには乙女として生きることのすべて、が書かれている。
何度も読み返すでしょう
京阪電車のある場所への「春の日には、菜の花畑」を読んだ時、
これは私のために書かれた本? とも思いました。
私は学生時代、京阪電車に毎日揺られながら、
あの場所をいつも見つめては、降りて歩いてみたい、
とずっと思っていたのです。
卒業式の時、袴を着ましたが、なにか忘れ物をしたような思いで
ずっと過ごしておりましたが、(7年も)やっと見つかりました。
関西を離れる年の春、必ずまいります。
そう、本当の意味での卒業式である、
一等素敵な乙女のお出掛けに。

NOVALA BOX
乙女の学級委員長、野ばらさまの公式ホームページ。
野ばらさまのことをもっと知りたい方、BBSでの乙女たちの会話を楽しんでみたい方、
是非、飛んでいってみてください。 今夜も乙女のエキスを吸収しにいかなくちゃ

野ばらさまの「それいぬ」の中の短編、「太宰調ノエル」へのオマージュを書いてみました。(フィクションです)

太宰調メヌエット
この世に、わたくしほど気の弱い人間は いないと思います。
もう三十路を過ぎているというのに、なんというか夢見がちで、
空想の世界をいったりきたりしている次第でございます。
それならそうと腹をくくってしまい、永遠の空想少女、
「乙女万歳」と記したハチマキでもしめて街を徘徊するくらいに
極めれば良いのですが・・まあ、そこまでしなくとも
人様に迷惑さえかけなければ、多少夢見がちなくらいは
殿方も、愛らしいとさえ思ってくれることもあるかもしれません
それが、聞いてくださいますか
駄目なのです。 全く中途半端なのです。
ひとり身の時は、空想だけを食べて生きてゆけました。
ところが家族ができると、白飯を食べないと生きていけません。
自分の恥が、人様の恥になることがありうるのです。
こわい、と思いました。

私がこの世で一番こわいのは、自らの過去の失敗です。
三十も過ぎれば、昔のことなど忘れてしまう、などとんでもございません
過去も現在も存在しない夢の中だけに生きようとしても
ほら、また「大嫌い」とつぶやく
今日も、何度「大嫌い」と口にしたことか・・
過去の自分の恥を思い出し、その瞬間 「大嫌い」と口にしてしまうのです。
私の秘密のかなしい習慣なのです。
それは、10才の時の恥、 13才の時の大恥、どうしても消したい22才のあの夏の日の恥、
というふうに数え切れない過去の自分の恥が、空想のクライマックスで必ずでてまいるのです。
そのあとは、もう顔が真っ白になり、時には痙攣さえおこします。
いつか夫に見られたら、きっと気色悪い、とお思いになる。
そのことを想像すると、恐ろしくて気がおかしくなりそうです。
その前に、そう。 もう日がありません
早く言わなければ・・
「結婚式は玉姫殿のゴンドラで高笑いしたい」 なんてどうして言ってしまったんだろう
野ばらさまの「それいぬ」に感化されたせいでした。
自分が、中途半端な乙女、そう、乙女失格と気付いてしまった時は、もう遅かったのです。
ゴンドラの色や、高さまでもう決まっているのです。
そのゴンドラの上で、きっと今までの恥が総決算してやってくる。
そして私は、痙攣する。
そう、「リップスティック」で、りんごを食べて痙攣した広末涼子のように・・
三十路を過ぎてそんなこと、笑い者になる。
明日にでも「 さびれた北の街で、ひっそりと二人きりでしませんか? 」 と言わなくちゃ
もう「大嫌い」と言わないためにも
過去の恥をひとつずつ忘れていくためにも、もう恥を増やせない
明日、絶対に明日、
夫が起きたら打ち明けられますように
きっと賛成してくれますよね
お願い、 神さま。


「皮膚と心」が好き、という美しい人
ダ・ヴィンチ3月号の表紙で鈴木京香が「二十世紀旗手」の古書を手にしている
その立ち姿のあまりのかっこよさに、目眩がした。
凛とした美しい女性、鈴木京香
彼女は、21世紀を代表する女優の一人になっていくだろう
けれども、昭和の香りのする女
原節子は昭和で止まるが、彼女は止まらない
そごうは破綻したが、鈴木京香は破綻しない
アイドルは昔のVTRを消したくて仕方ないけど
彼女は、いつでも真知子巻きをして数寄屋橋に立てるだろう
藤原紀香は進化するが鈴木京香は進化しない
進化すると、太宰の古書を手にしても似合わなくなるから
「皮膚と心」が好きだという彼女
古書が好きだという彼女
ページの端の書き込みや、新聞の切り抜きやメモがはさまっている本
に出会うと、当たりを引いたみたいで嬉しくなる、という彼女
私は、インタビュアーになりたかった。
そうして、彼女のあの蛭のような唇(あ、「雪国」の駒子ね、似合いそう・・)
から言葉が発せられるのを見ていたかった。
あの唇は、どんな風に美しいカーブを描いて
「太宰」という音を発したのだろう・・

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