太宰作品との対話

燈籠
太宰は弱者にやさしい
=弱ってると、太宰がおくすり
時に副作用に苦しめられるかもしれないけれど
飲まずにいられない
私は、太宰作品をずっと明るいと思ってた
世間一般には、太宰=暗い ってイメージのよう
思春期に「人間失格」を読んでどう思うかで太宰のイメージって決められがち
明るい、暗い、を忘れてみて
太宰作品に共通して流れてること、
弱者にやさしいまなざし

この短編を東京へ向かう新幹線の中で読んだ
正確には、仕事を速効終わらせて、タクシーにすべりこんで
「急いでいただけますか」と生まれてはじめて運転手に言い
その運転手さんはベテランで、裏道をするりと抜けて
桂ー京都駅を15分で到着させたスゴウデ
「釣りはいいです。」とは言わなかった 小さい奴、弱き魂もち。
生まれつきだから仕方ない。
21時発東京行き ひかり
1号車の中はビジネスマンだらけ。 女性は私ひとり。
つかれた・・・・・・
シートを少し倒して
飲めないのに「日本盛り」買って
こんな時は太宰。
新潮文庫の「きりぎりす」の冒頭におさめられてるこの物語
最後のページは、泣けて泣けて・・
時速200キロの世界の中では涙もすぐに渇いてく
でも、ありきたりな言葉だけど「救われた」
仕事に追いつめられていた自分の中から
なにか黒い固まりがスーっと抜け、身体が軽くなった。
この物語は、私にとって救いの物語だった。

「私は、ばかです。」(文中)
ばかな女の吐露を書かせたら、太宰の右に出るものは
少なくとも私の中では、いない。
どうしてここまで少女の心から女心まで知っているのか
私の太宰研究のテーマは「太宰治と女性」がメイン
これは、一生かかっても模索し続けたい

「一生のうち、たったいちど、思わず右手が一尺うごいたからって、
それが手癖が悪い証拠になるのでしょうか。あんまりです。」(文中)
こういう瞬間って、人にはやってくる。
私にもあった。(万引きじゃないよ)
その罪を忘れたわけではないけど、思い出させてくれて
ついでに燃やしてくれた。
炭となって永遠に残るけれど、忘れたくないからそれでいい。
人が勇気を持って私にやさしくしてくれた事はすべて決して忘れたくない
同時に、今、自分がするべきことに気がついた。
それは、流行りのSHOPをCHECKすることや
雑誌で情報を集めてトクした気になるようなことをやめて
私のアパートの部屋にところ狭しとならべてあり
手をのばせばすぐに届く
太宰を読む事。
ちゃんと向き合う事だと。

戻る