婚前旅行・・なのかな?

軽井沢は、たしか5年前の秋に一度訪れている。
あの時はひとり旅。 仕事にも恋にもかなり疲れていた時期だった
ように思う。憶えているのは、シーズンオフの軽井沢は、人が少なくて
お店も閉ってるところが多いこと。でもちょっと傷ついてる自分にはそれが心地いい。
貸し自転車を借りて林を抜けることが実に気持ち良かったこと。
教会が自由に出入りできて、いつか恋人とふたりで来たい。と切望したこと。
中でも「石の教会 内村鑑三祈念堂」に感動したこと。
「いつか必ず愛する人と来ます」と声に出した自分に少し驚いたこと
30を目前にして、まだ純情さを持っているものだと、なんだかビックリした。
(30過ぎてその後どんどん幼児化してる面もあるのは周知のこと)
万平ホテルのダイニングで、3枚絵ハガキを書いたこと。
1枚は、かつての恋人。別れたあとも、理解ある友人として連絡をとりあっている。
あと2枚は、好きな人と、その家族へ。
憶えていることはそれくらい。

5年たって、夢がかなってしまった。
中軽井沢の「石の教会」は、5年前と全く変わっていなかった。
石のドームで、水の音だけが静かに流れている。
当日は、結婚式が多く、当然「石の教会」でも式の予定があった。
人がたくさんいたので、入れないかと思ったくらい
でも、私たちが教会に入ると、まるでしめしあわせたように
他の人たちが出て行き、奇跡的にふたりきりになった。
あの瞬間があっただけで、人生にイエスといえるような・・
全てを信じられる思い。
すぐ傍の「ホテルブレストンコート」には、ウエディングドレス姿が4人はいた。
秋の結婚式ラッシュだったみたい。
今回の旅は、花嫁ばかり見てた気がする。

信州に入った瞬間、景色が変わった。
水の色が違う
木々、葉の色も違う
「さわやか信州」ってコトバ、ピッタリ
軽井沢駅も、ずいぶん変わってた。
5年前の横川駅をちゃんと通ってた時の方が、列車的には
私は好きだったな
駅から外に出た時
「来てよかったかもしれん」って彼が言った。
すごく嬉しかった。私も駅出て、風を感じた瞬間、そう思ったから
信州の風って、違う。あのさわやかさはどこからくるんだろう
浅間山なのかな

六本辻周辺のカフェ、「ラフィーネ」で席に着いた瞬間、
「軽井沢にきた」って実感がこみあげる。
テラス席が苔庭に面してて、リスの訪れを待ちながらお茶を飲む
旅の醍醐味だった。
翌日、彼が横川の鉄道博物館に行ってる間、過ごした「ミハエル」の
クリームチーズトルテとロシアンティーも美味でした。
香子さんは、ここで三島の「朝の純愛」を読んだという。
贅沢な時間を過ごすには最適な場所だと思う。
自転車でいろいろまわったけど、南軽井沢に行く時間がなくて残念
軽井沢高原文庫や、掘辰雄別荘跡、与謝野晶子展やってた美術館とか
行けなかった。 またすぐにでも行きたい
小池真理子、藤田宣永夫妻は、どのあたりに住んでるのだろう
小池真理子の「恋」がまた読みたくなった。「月狂ひ」ももちろんだけど
信州には、美術館がたくさんあって、いつか全部見たい
今回は、結局「セゾン現代美術館」だけだったけど、すごい印象に残った。
中もすごかったけど、庭が気にいってしまった。 もっとゆっくりと歩きたかった
モダンアートはいまいちよくわからない私だけど、美術館という空間が好きで、
そういう場所に身を置いてる時の自分も悪くない
でも、ふと大きな空洞の中の美術品と向き合いながら、目を静かに閉じ、
京都の自分の部屋や、仕事場である店の光景を思い浮かべたりする。
旅にきてるのだから芸術に没頭すればいいのに、「今頃、店、どうかな」とか
考えてしまう。 で、また目を開けて、自分の足元を確認する。
あたりまえだけど、ワープしてなくてホッとする。

「王妃エリザベート」っていう作品が印象に残った。
すごく「グレイ」な作品で、いつまでも見ていたくなった
「セゾン現代美術館」セゾングループが残した宝だね
NHKでやってた堤兄弟の特集番組見てたし・・
1日中いても良かったな
(18時までなのに17時30分で真っ暗になったことだけは納得いかないな)
でも、交通機関が複雑で、簡単に行けないとこにある美術館って好き
今度は、安曇野に行ってみたいな 碌山美術館や、丸山健二の白い庭とか見たい。

宿は、「フォーレスト」っていうペンション。
品のいいところだったし、ペットのモモちゃん(猫)(下に写真あり。実際は、100倍かわいい)
がすごくかわいくて、生れて初めて猫、飼ってもいいかな・・という気になった。
毛並みがツヤツヤで、ペンションの人達が、丁寧に育ててるのがわかった。
食事もとってもおいしかった。 まず水が冷たくておいしいし。
なにより部屋に入って、窓から緑があふれてることに感動。
鳥の家とか木についてるし。
でも、ペンションって初めて泊ったので、風呂、トイレ共同とか知らなかった
でも、いい体験しました。あ、あと壁うすいよ。(一応)っていうか21時に
寝られるし・・私はひとりTBSの恒例のクイズを見てました。「シモンが赤坂走ってる〜」って。
朝、陽のあたたかみで目覚めたのは久しぶり。でも4時に起きてバードウォッチング行く!
とかいきまいてたくせに、朝食ギリギリまで寝てた。
朝ご飯、おいしかったな
ペンションのさりげないセンスは勉強になった、山あじさいのリースが気にいって、
自分の部屋用にも買った。
出発の朝、テラスでペンションのおじいさんが椅子に座って静かに目を閉じてるのを見た。
毎日のこのひとときを楽しみにしてるんだろうな
はいざらとマグカップだけを持って、テラスへ出て年期の入った椅子に腰かける・・
木々のせせらぎを感じるだけで気持ちいいから本なんかはいらないのかな
人が、本当に気持ち良く自然の中で暮らしていると、むしろ本なんか邪魔になるのかも
「私の人生にもう荷物はいらない」って境地になるんじゃないかな・・なんてふと思った。
目を閉じたおじいさんの顔は、私たちを迎え入れた笑顔の時と全然違ってた。
「ひとりの時間」の顔だった。

雑木林の中、鳥の声を聞きながらひとり、駅まで歩いた。
軽井沢駅い着いて、まず「丹念亭」のチョコレートケーキとコーヒーを味わう。 絶品だった。
ここのチョコレートケーキはひんやりしてて生クリームのバランスも良く私好み。
ここが軽井沢で良かった。 滋賀県くらいの距離ならこのケーキを食べに通ってしまいそう マジ
コーヒーとともにパズルもやってきたけど、こういうのまったく苦手な私は、
ただただ メニューの「コーヒーの豆は企業秘密」というところを見つめる。
本棚に「沈黙の艦隊」が全巻ある。 最近はまってる人が「すごくいい!」と言ってたことを
思い出し、一巻を読む。たしかにおもしろそうだけど、ふと冷静になった。
軽井沢でなくても読める。ここで夢中になったらもったいないぞ!
そこからは、軽井沢銀座にくりだし、つるや旅館を見たり、木立にただたたずんだり
茜屋珈琲店は良かった。 コーヒーの味もだけど、店のつくりに感動。紫がきいてます。
チャーチストリートなんて5年前にはなかった。なんとレストランは23時までやってる。
夜21時以降は、静かにすごす。という軽井沢のルールなどもはや過去のものなのか・・
やはり、長野新幹線が通って、東京との距離が短縮されたことが影響しているのではないかと思う
まあ、そのおかげでプリンスホテルのショッピングプラザで東京並の買い物もできる。
たしかに新幹線の時間まで、ここをブラブラできたことはかなり助かった。遅い時間、お店閉まってしまうから
でも軽井沢の人達はどう感じてるのかな
まあ、田中康夫にかかってるのでしょうね。 演説の張り紙が、そういえば貼ってあった。
テレビで見たけど、長野県庁を訪れて、展示物とか、1年前の時刻表が貼ってあることとか細かくCHECKしてましたね
今回の旅行がタイムリーだったこともあるけど、今、私、長野が気になってます。
軽井沢旅行、ただの旅行とちょっと違うのは、なんか帰ってからも軽井沢が気になってしょうがないこと
田中康夫のこれから。 長野のこれから。 遠巻きですがちょっと京都でCHECKしてます。
↓モモちゃんです。鼻チューしたかった。。

軽井沢から東京までは、長野新幹線を使いました。
椅子に腰を下ろした瞬間、泣いちゃいました。
あまりにも軽井沢が楽しかったこともあるし、
たった2日離れるだけなのに、ずっと一緒にいた人と
離れると、なんか完全じゃない気がして
人が見たら遠距離恋愛のカップルに見えたかも(あさって会えるというのに)
「大宮」なんて、今まで見たこともさわったこともなかった
その風景が眼下にある・・不思議なかんじでした。
そして東京
「ざわざわ下北沢」で見た、ホームからまるみえの窓があって、電車の中の人々が
見えるビリヤード場の窓、それを確認したくて駅まで行った。 たぶん、アレ? っていうのを
みつけた。 いつかシモキタ、ゆっくり来たい

横浜で友人の結婚式
でもすごい雨。ゆーみんの「タキシードレイン」なんて歌、思い出した
「ザ・ホテルヨコハマ」までクイーンズコートからタクシーで行った
その風景が、なんともいえず「ヨコハマ」だった。
式では、泣きっぱなしだった。
ドレス姿が、あまりにキレイで泣き、チャペルで式中泣き、披露宴でも泣き、
最後のお見送りの時、もう涙はないだろ、って思ってたらおお泣き。 今世紀最後のおお泣きかもね
おたがいの、うれし泣きじゃない涙を知ってるから、感慨深いものがこみあげたんじゃないかと
思う。本当に、しあわせそうで良かった。
ここの料理が、またおいしかった。キャンドルサービスでメインのろうそくに火がついた瞬間、
カーテンが開いて、港、ヨコハマの大パノラマ・・ためいきもののゴージャスさでした。
披露宴をあとにして、友人と隣のホテルニューグランドのコーヒーショップへ。
ホテルニューグランドは、10年前くらいに泊ったことがある。 なつかしいヨコハマの風景
ここも大好き。 時間があれば、「戦争文学展」神奈川文学館 に行きたかったけど、もう遅い。
中華街をブラブラして、東京に戻る。
次の日、1日シロガネーゼになる約束をして青山で別れる
三鷹泊
友人宅に泊めてもらうことも考えたけど、今回は、何時に帰れるかわからなかったし、
ビジネスホテルに泊まることにした。 三鷹で調べたいこともあったし・・

旅の最終日、東京、快晴。
井の頭公園を散歩。
片思い時代を思い出す。
恋のはじまりのとき、ここに立っていた。
落ち葉を意味もなく拾う。 店に飾って秋らしくしようとか考える
けっこう強引にさらってしまった。
今の恋のハナシ。
彼は、愛を惜しみなく与えてくれながらも、愛することの淋しさをも味あわせてくれる人
だから好きなのかな・・そんなこと考えながら、自分と同じ住所のその人に
絵ハガキを送る。郵便屋さんがヘンに思わないように、
送り主のところは、「軽井沢のキャンディ」にした。HNって便利だ

友人と合流。
原宿の「ロータス」に行ったあと、インテリア好きの友人が行きたいというショップ
「エイゲアン」に行く。ここで見たランプが無性に欲しくなる。
エーゲ海を思わせる、セルリアンブルー こんなブルーは日本では見たことない
こんなランプがあったら本を読む時間の楽しみが増える
友人は、ひたすら店内のめぼしいものをメモってる。 「だんなと相談して決める」らしい
私も死ぬほど欲しかったけど、彼の怒る顔が浮かんでやめた。
私らしくない。 ここ最近まで金もないのに、欲しいものはなんでも買ってた
第3者の意見なんてとんでもないというように・・
やっぱりちょっと変わっていってるのかな

裏原宿のハンカチ専門店「PARTOUZE]とか行ってるうちに、シロガネーゼする時間は
もうない。 友人は空港へ。 私はひとりシロガネーゼ・・の予定が、白金台駅周辺は、普通の街
「プラチナ通り」が見つけられず、次回へ見送り。 リベンジするぞ

今回の旅の最終目的は、ブックモービルを見る事。
会えました。アメリカ橋公園の灯り・・思ったとおり、いい光景でした。
残念ながら松浦氏にはお会いできませんでしたが・・
素敵でしたよ。 BOOK BLESS YOUと書いてあるブックバンドに本をはさんでもらえるんです。
本来、本ってああいうスタイルで持つんだー。って目からウロコ
恵比寿の動く歩道から東京駅まで小脇に抱えながら歩いた。 ちょっと背筋伸ばしてね
旅のいいしめくくりだった。
ブックモービルについては、また別の機会に詳しく書きます。
新しいことをはじめる人って素敵だと思う。
そして、そういう人を応援したい。 見続けたいと思う。
と同時に、自分が何かを発信することも絶え間なく続けていきたいと思う。
あのペンションのおじいさんのように
時々、目を閉じて 自然に耳を澄ませて
自分と対話することも忘れずに

ああ、丹念亭のチョコレートケーキ食べたい

5:15:13 AM(早起きできなくて行けなかった中軽井沢野鳥の森公園)
BGM 珈琲byクリンゴン(でいいのかな)軽井沢はどこもコーヒーがおいしかったので。
↓軽井沢高原教会の前で。背中から金の羽が生えてるように見えない? 片翼だけだけど。


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