プロローグ−なぜ旅に出るの? 苦しいからさ−


そうだ、津軽行こう
それを決心したのはほんの2週間前
突然神の啓示のごとく、頭の中に「津軽」という文字がふってきた(バックは黒、文字は赤)
お盆休み、はじめ3連休だったのがふと4連休になった。そこからは走る走る
切符を買ったらもうこっちのもの! 出発までの準備期間が又甘美なのよね
寝言まで津軽弁だし(ウソ)
もってくものは本とCDと、ペン&ノートで充分と思った。本選びはけっこう丹念
少し前にみかちゃんがこっちに泊りに来た時
「18切符でこっちに向かう途中で読んでました」と彼女の白い手のひらの中から新潮文庫の”津軽”を
とりだしてみせてくれたときその新潮文庫の津軽に一目惚れしてしまい
太宰作品の中でも津軽は未読だったことに、ほんのちょっと感謝し
「初めて訪れる津軽で初めて津軽を読む旅」を決心した。
とても静かな、でも燃え上がるような「決心」だった。
そしていよいよ出発の朝

1日目

1999.8.17
AM5:08 嵯峨嵐山駅出発
日付印をおしてくれた駅員さん、私がひそかに想いをよせている駅員さん(はあと)
(寺脇康文に似ているのダ!)又JRのあの制服(かなりスキ)が似合う似合う
とてもいい皮切りで幼い胸(?)をはずませる私であった

AM5:29
京都→6:38米原6:50→金沢経由11:18富山→直江津13:26
いい天気で気分もよい、旅快調、ひたすら寝る寝る。18キッパーらしき人もチラホラ
金沢では降りて外に行きたくなるのを必死でこらえた、我が第4の故郷、金沢 ああ近いうちにいけますように
富山では思わず「みやびちゃーん!」と外に手を振ってしまった
この乗り換え2分とか(1分というのもあった、もう必死)でかけこむのが鉄ちゃんのだいごみかと思って
途中からそのスリルを楽しめるようになった。他の18キッパーもダァーっとかけこむので不思議な親近感が湧く
「いなほ」とか通りすぎると私の中の生まれたての鉄ちゃんダマシイに火がつく ボッ!(ヤ、ヤバイ)
しかし連れのテリーくんは車両間の切り離しまで近くに行って見逃すまいと真剣な表情、まさに瞳キラキラ
水すまし状態なのだ(笑)
この旅の途中、車内の2/3私はねてしまっていたのだが(ひたすらコウカイ)いい景色の度に起こしてくれたのに
一瞬起きて又すぐ寝たらしい。でも、筒石駅では起きてて良かった、なんとトンネルの中にあるのだ
鉄ちゃんの血がさわぐねー
直江津で買った「釜メシ」をすぐ食べようとすると「列車が動いてから食べなさい。風情もなにもない」
と怒られる。うん、そのとーりだ。へへへ。

直江津14:00→16:45新潟、又寝まくってたけど「日本海だよ」って言われて起きると目の前に日本海
(この世で一番素敵な目覚め方♪)わぁ、日本海が見えるぅ!もう景色が最高です。
「青海川駅」すぎて気付いたんだけどドラマ「高校教師」の最終回で通りすぎた列車ってこのあたりを走ってたんじゃ
なかったっけ(あ、またドラマっ子ぶり発揮)で、小指を赤い糸で結び寝たフリをする・・なワケないだろ!

新潟17:03→18:18村上18:21→20:44酒田
羽越本線♪車窓風景もトーンダウンしてきてダークな日本海がますます本来の姿をあらわしてくる。
なぜか「ピアノレッスン」の波打ち際とグランドピアノのコントラストの官能とシンクロした
ここでは窓が開けられたのです。窓から顔出してずっと日本海の風を感じてた

民家の様子なんかも見える。ここで窓が開けられるかどうかで大きく違う。日本海からの風を直接体に浴びて初めて確実に何かが変わるのです。
−ああこんな時間が私にも又やってきた−
映画「テルマ&ルイーズ」で、ルイーズの「目覚めてるかんじ」ってたった一言のセリフ
あのかんじに限りなく似てる
甘美な気分っていうよりももっと体の芯の部分までしみてくるようなそんな充実感でいっぱいなのでした
旅にハマる人の気持ち、わかる
「青春18切符」選んで正解だったな。(「パチンコポラリス」なんて窓から発見!)

「信じるところに現実はあるのであって、現実は決して人を信じさせる事ができない」という妙な詩を、私は旅の手帳に二度も繰り返して書いていた−「津軽」文中より

酒田21:14→23:14秋田
ベンチシートでした。なぜか「さくらんぼのお酒」&柿ピー
なんて衝動買いしてしまった。自分でもよくわからない
さすが日本海の魔法♪
ベンチシートの列車の中、堂々と「津軽」片手に飲む私、し、しんじられぬほど大胆
大津で一緒だった、チャリを袋づめにした18キッパーさん
とうとうここまで一緒だった。お酒のせいか話しかけたくなる。バンダナまいた学生風の集団18キッパーもいる
(みんないい男なのだ!)話かけてもおもしろかったかもなー
秋田23:14、とうとう2,300円で京都→秋田まで来てしまったと実感
「きてきてきてサンタモニカー」ばっか口ずさむ(桜田淳子は秋田出身)
「なんとなくクリスタル」って部屋もあるけど「シェルブールの雨傘」しか空室なくて、そこにすべりこみ。
−深くはつっこまないでください(笑)

2日目に