私たち、結婚しました。
2001年 5月のある晴れた昼下がり 札幌・羊が丘にて。

寺山修司が力石徹の葬式をしたように
掟破りだけど、キャンディとテリィの結婚式をここでやっちゃいます。
21世紀の一夜のマジックということで許してね。
クラーク博士が祝福してたから良しとしよう。
大志? もちろん 抱いてるともー!


行ってきました。
でっけーどー ほっきゃーどー!
やはり、でかかった。
今回は、トワイライトエクスプレスでの旅だったのだけど、
北海道に入ってから4時間も乗ってるんだもん。またその風景が良い。
トワイライトについては体験記を別に書いたのでそこを見てください。
札幌のホームに着いて、まず寒さにびびった。
こっちでは、桜が今ごろ開花してたりする。でも寒くて花見もなかなかできない・・とか。
しかしお天気にはめぐまれ、すばらしい北海道の青空がおがめました。
そして「羊が丘」へ向かう。 あのクラーク博士の像があったり、三浦綾子の小説のタイトル
にもあるので結構知ってる人も多いのでは?
ここのチャペルで結婚式したのだけど、この晴天に、ほんと助けられた。
ふたりきりの式だったのだけど、無料オプションで「白いオープンカーで丘を1周」ってのがあった。
おもしろそうだからおねがいしてみたのだけど、「羊が丘」って結構観光スポットになっていて
人が多い。チャペルの前に止められているのは、ただの白いカローラ
それを見て彼の方は、「うわ。ちゃちー。 あれで丘を1周? 人も多いし恥ずかしいー」を連発
私もなんだか心細くなってきていた。
でも、この晴天のおかげ? なのか本番では彼の方がのりのりだったのです。

簡単な打ち合わせ後、衣裳合わせ。
3着ほど着てみて、一番かわいらしいのを選びました。(上の写真参照)
大人っぽいのはあまり似合わない・・・・30年以上生きてると自分に似合わないものくらいはわかってる
少女の頃からずっと憧れてた白のフワフワドレス、今 自分が着てる、って実感は脱ぐ頃にようやくわかってくるもの
すごく気持ち良かったですね。 もっと着ていたかったです。
ヘアメイクの時間、恍惚でした。
生まれた大阪の街からはるか北の札幌の丘のチャペルの小さなメイク室で、
鏡台の前にウエディングドレス姿で腰かけ、ヘアメイクしてもらう静かな時間・・最高でしたね。
くちびるに紅筆ですーっと色をつけてもらう時の気持ち良さ、男性にはわかんないと思う。
「いくつ?」と聞かれて「34です。」と答えた後、しばし沈黙。どうやら身長のことだったらしい。ハズ〜
お支度が終わったあと新郎とご対面。「ほう」と彼が一言。心の中で「ふふふ、美しいじゃろ」なんて思ってしまった。
そして式のリハーサル、本番。
内容は、神聖なのでカット・・なわけないのよね。
お笑いがたくさんありました。 ここのチャペルは無宗教の人前結婚式、ってことだったのですが
一応、神父さんみたいな人が導いてくれるのです。で、「お祝いの詞」みたいなのを言う時、
訛りっぽく「メロデーを」って言ったらしい。私はきずかなかった それで彼がふきだしそうになって必死にこらえて
頬がひきつってるところが、しっかりビデオに映ってました。
指輪の交換、って普通 ゆっくりはめるのですね
私はそんなことも知らなくて、彼の指に、スポッとはめてしまいました。 0,5秒くらいかな
300円の結婚指輪をリングクッションに並べたカップルもたぶん私たちくらいしかないでしょう。でも宝物。
あと、「誓いのキス」。これ、リハーサルでは「口づけ」ってあって、「お互いの顔を45度傾けてください」
って言われたけど、どこにするか打ち合わせしてなくて不安だったけどなんとかなりました。
でも、ひとつ後悔していることが・・
向かい合う時、彼の顔をチラッとしか見れなかった。 とてもドキドキして・・
ヴェール越しに見る彼の顔は、いつもとまた違う
彼の方は私の目をまっすぐじっと見つめてくれてたのに・・
私はまだまだダメですね
いつもの京都での生活では、年上ということもあるけど、引越しの時の決断とか、その他でも私の方がリードしてきた
でも式の時、リハーサルから私はボロボロで、あきらかに彼の方がしっかりしていた。
ヴァージンロードの赤い絨毯をきれいな衣裳を着て一緒に歩いた時も、「右、左、」ってリードしてくれた。
それが単に 嬉しくて・・
あの時の一歩一歩を、決して忘れないと思う。

式のあと、「愛の鐘」なるものを二人で鳴らし、例のオープンカーへ。
おしりに空缶をたくさんつけた白いオープンカーはゆっくり羊が丘を進む。(上の写真参照)
カランカラン、ってやつ。最近めっきり見なくなったけど、これに小さい頃憧れてたので私はとても嬉しかった。
見上げると照り付けるような太陽。 空は真っ青。 羊たちの群れが、目に入る。
そのあまりにもの絵に書いたような牧歌的な世界に、二人は恥ずかしさをいつのまにか忘れ
むしろ酔いしれていた。 特に彼。 いつのまにかとなりで「見られるってめちゃくちゃ快感やー」とか言ってるし・・
観光してる人たちが、「わあ、きれい」とか「おめでとう」とか言って手を振ってくれる。
私たちも笑顔で答える。 皇太子さまみたい(笑)
小さい女の子が、「わあ、およめさん。きれ〜」とか言ってくれて「あ、私 およめさんなんや」と初めて実感。
これは、真っ青な空の下だったから良かった。 晴天だったからあんなに晴れやかに笑えたと思う
いつのまにか「クラークのおじさん」が登場して、「おめでとう!」なんて言ってるし・・いやあ、なかなか良かったな

その後は、宿泊先のアートホテルズ札幌へ。中島公園の近くのいいホテルです。ここの23階の部屋で2泊しました。
豊平川がすぐ近くに流れてて、いいところでした。温泉がついてて、リラックスルームみたいなところで
足伸ばしてクリームソーダ飲んでつくろぎました。 彼はとなりで「マーダーケースブック」(なぜかおいてあった)
を夢中で読んでたけど、私は久々に女性週刊誌をむさぼり読みました。 こーゆー時間にはやっぱ女性週刊誌でしょ
至福の時でしたね。 この日の夜は、ススキノ行ってラーメン食べたり、時計台に行ったり。
ススキノ、すごいですね。今でも目を閉じると「キャバクラ」って蛍光色のネオンがパチパチ浮かぶ・・
また、ススキノの情報誌、充実してますね。 もし私が東京のビジネスマンとかでススキノの女にはまってしまったら
身、滅ぼすだろうなー、とかあることないことあれこれ考えてしまいました。 なんか北の女、って深入りしそう・・
いざとなったら煙突から忍び込めるし(なわけない)寒いからひっつきたくなるし・・・
ホテルの近くのコンビニ、毎日行ってたけどもう愛着湧いてる。 今度札幌に行けたらまたアートホテルズに泊りたい。

2日目
小樽へ。 情緒あふれる素敵な街でしたね。 運河のあたりなんてどこからかヴァイオリンの音色が聞こえてきたり・・
北一硝子の規模のでかさもびっくりした。自分用に 紫色のワイングラスを買いました。
いくら丼食べたり、ソフトを舐めたり、たらふく食べ歩きました。
そのあと、小樽文学館へ。
ここで小林多喜二のデスマスクに出会う。 衝撃でした。
そう、背筋がチリチリ。
それまでのフワフワ気分からすっくと地に足がたどりついた。
小樽の街が、自分たちの街から発信した文化を守ろうとして神田の古書店にあった高価な書物を
運動を起こして取り戻した話とかに触れて、全国の文学館めぐりがしたくなった。
ここに立ち寄れたことは本当に良かった。
永山則夫の「無知の涙」を購入。都会の 書店で売ってるけど、ここで買うことに意味があった。
「あなたの価格で」本を購入できるコーナーで、森茉莉の「贅沢貧乏」の文庫を500円で購入した。
25セントに一番似てる大きなコイン1つで買いたい気分だったから。
この先の長い人生、きっと楽しいことと同じくめんどくさいこと増えてく。 ちょっと憂うつ
でもこれらを読める、いつでも読める、好きな時に。 この自由さを思えば
一歩、また一歩、進んで行ける気がする。 赤い絨毯を踏みしめたのと同じ足で
こんなに快適な、すばらしい旅ができたことを思っても 進んで行ける気がする。

3日目
14時までのあとわずかの北海道
札幌芸術の森に行く。 ここは時間を作ってもう一度、ゆっくり訪れてみたい
「四谷シモン人形愛展」が開催されていて 当然見に行く
入り口すぐのところにあった少女の人形のインパクトがすごかった。
何年か前に、一体50万で売られたらしい。今考えれば 夢のような安さ・・
有島武郎旧邸で、ずっと見たかったものに出会う
「生まれいずる悩み」 この小説がすごく好きなのですが、主人公のモデルになった木田青年の絵が
階段のところにさりげなくかかってあった。
粗削りだけど、迫るものがある・・・その表現そのままで、思い描いていたのとピッタリ重なった。
探し物が見つかったような、小さな喜びを感じた。
もう一度 読んでみたくなった。
「或る女」 学生時代断念したけど、今なら読めるかも・・
ここでも一度取り壊しの話があったらしいが、地元の人たちの運動があって存続されることになった
様子に触れる記事を目にした。
文学とは、決して泡のようなものではない。
そんなことを感じた今回の旅だった。(男なんてカフェオレの泡のようなもの、ってCM があったな)
それと、ホテルでもトワイライトでもいきいきと働く女性をたくさん見れて良かった。
客側になると、接客業としての勉強になることが多かった。
いろんな意味で実りある旅だった。
そして京都へとトワイライトエクスプレスに乗り込んだ。


ハネムーナキャンディのトワイライトエクスプレス紀行
トワイライトエクスプレス鉄ヲタ篇 BY TERRY
1:52:01 AM(こうしてる間にも存在する吉岡海底駅)BGM セシルの週末ー中学の時から結婚前夜に聞く曲、と決めていた

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